ハンサムらーめんをチラ見した、デスラー軍団。

キクチ氏はぐんぐん加速し、ムネコフ氏、けいす氏も続いた。
仕方なく僕もそれに続いた。

アンビットちゃんを見ると、余裕でキロ5分を切るペース。
僕は必死についていった。

254は信号が多い。
少し離されると軍団は信号につかまった。

僕は追いつくと、気持ちを理解してくれるであろう、けいす氏に話しかけた。

「これ俺の予定と違います!こんなんじゃないんです!」

しかし、けいす氏は怪しく薄っすらと笑っただけ。
 
 
おい!けいす氏。
何か言ってくれよ!
わかるだろう。俺の気持ち。
 
 
信号が青に変わり、走り出す軍団。
いや青に変わる3秒くらい前のフライング気味のスタートだった。

再び離され、信号で追いついた。
もう一度、けいす氏に話しかけた。

「おかしくないですか。これ。俺の予想の斜め180度行ってますよ!」

斜め180度は一体どの方角なのか。
自分でもわけがわからなかった。

混乱気味に話す僕。

それでもけいす氏は、薄っすらと笑うだけだった。
 
 
売った!
この人デスラーに魂を売った!

そう思った瞬間だった。
 
 
***

雑司ヶ谷254ハーフを、思いつきで記事にしたとき。
僕はこんな事を書いていた。

そうか、僕の人生は254に沿って歩んできたのだ。
つまり『雑司が谷254ハーフ』を走るという事は、僕の人生を遡る事になるのだ。
これはまさに現在から過去に戻る『ベンジャミン・バトン』的、ハーフマラソンなのだ。

たかが254を走るだけの事かもしれない。
しかし、僕にとっては思い入れがあった。

このブログを、デスラー軍団が読んでくれたかはわからない。

いやいや、読んでくれていたはずだ。
だってこんなコメントが残ってるし。

おおっ!
こりゃヘタすっと「10.11雑司が谷決戦~たかしさんのルーツを訪ねて(前編)~」もありますぞ!

少なくともこの時は、デスラーも人の心を持っていたはずだ。
 
 
***

信号のお陰で折り返しまでは、孤立せずについていった。

しかし、後半。
軍団がさらにスピードを上げる事は、容易に想像できた。

信号を利用しても、ついていくのは無理かもしれない。

そう思った僕は、

「さっきのドンキホーテの前で、待ってて下さい!」

と告げた。

「了解です!」

デスラー軍団はそう返事をして、走り始めた。

案の定、最初はついていけたが、徐々に信号でも追いつけなくなった。
軍団の姿は、みるみる小さくなっていった。

孤軍奮闘。

本隊から取り残された僕は、まさにそんな感じだった。
 
 
でも、ドンキホーテまでの辛抱。
ドンキホーテで本隊に合流できるはず。

ドンキホーテで。
 
 
***

ドンキホーテが見えてきた。

戻ってきたぞ!

「お待たせしてすみません。」

待ちくたびれたであろう軍団に、そう言って合流しよう。

そしてドンキホーテからのラスト1キロは、一緒に走ろうではないか。

予想の斜め180度行ってる展開でもいいじゃないか。
全て水に流そう。

終わり良ければ全て良し。

僕は最後の力を振り絞って、ドンキホーテを目指した。
 
 
ドンキホーテ。

見所として紹介したとき、反応の薄かったドンキホーテ。
そこがデスマーチの終着点となるのだ。
 
 
♪ ドンドンドン ドンキ ドンキホーテ
♪ ボリューム満点 激安ジャングル
 
 
サライの代わりに、ドンキホーテのテーマソングが頭の中を駆け巡った。
みんなの待つドンキホーテはすぐそこ。
 
 
♪ ドンドンドン ドンキ ドンキホーテ
♪ なんでも揃って 便利なお店

♪ ドンキホーテ!
 
 
***

なんでも揃って、便利なお店のドンキホーテ。

しかしそこに、デスラー軍団は揃っていなかった。

そうか。
そういう事か。

予想の斜め360度行ってる展開だった。

虚しくドンキホーテを過ぎ去る事、300メートル。

前方から清々しい顔をした、デスラー軍団がやってきた。

そしてデスラーは言った。

「ドンキ、もっと先のほうかと思って。」
 
 
最初に見所として紹介した時から、ドンキホーテなど存在していなかったのだ。
 
 
とはいえ、こうして戻ってきてくれた事に感謝だ。
最後は4人でゆっくりと走りながら、スタート地点へ戻った。

こうして、雑司ヶ谷254ハーフは終わった。

こうして、デスマーチは終わった。
 
 
***

いや、終わっていなかった。

僕の家でシャワーを浴び、『辺老知恵』でささやかなアフターを行った。

そこでけいす氏が、こんな事を言った。

「そう言えば254沿いに住んでたんですよね。今日通りました?」

僕は答えた。

「ええ、通りましたよ。2ヶ所も!」
 
 
デスラー軍団は笑いながら言った。

「なんだぁ。教えてくれれば良かったのにー。」
 
 
ええ、教えたかったですよ。
教えられる状況ならば。
 
 
僕はその言葉を飲み込み、家に帰ってから3人の名前を秘密のデスノートに書き込んだ。
 
 
終わった。
これでようやく終わったのだ。
 
 
僕は布団に潜り込み、深い眠りについた。
 
 
 
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