1997年。
当時俺は、社会人3年目の若造だった。

その年の11月。
山一證券破綻のニュースが、駆け巡った。

あの山一でも倒産するのか。
青二才の俺だったが、かなりの衝撃だった。

テレビでは、

「社員は悪くありませんから!」

と号泣しながら会見を行なう社長の様子が、繰り返し流された。

それはまるで、ドラマや映画のワンシーンのようだった。
 
 
***
 
 
最近ドラマ化された、『しんがり』という本がある。
 
 

 
 
しんがりとは、負け戦で退却する軍隊の最後尾にあって追撃する敵を防ぐ役。

沈み行く船において、逃げ出さず最後まで残り会社の清算を行なった12人の話。

彼らは経営陣でも無く、営業部の社員でもない。
会社の本流から外れ、金を稼がない『場末』と呼ばれる部署の人たちだった。

ほぼ無給なのに、なぜ彼らは会社に残り清算業務を続けたのか。
意地なのか、プライドなのか、諦めなのか。

敢えて貧乏くじを引く潔さ。

多少美化されている部分もあるかもしれないが、この手の話は嫌いじゃない。

まあ、俺は真っ先に船から逃げ出しちゃうと思うけど。
 
 
***
 
 
29歳の時。
一度転職をした。

30歳を前にして、このままでいいのだろうかという焦りがあった。
よくある、隣の芝は青く見えるってやつだ。

辞める直前、引継ぎのような事をした。
うまく引き継げたかわからないが、そんなの知ったこっちゃ無かった。
気持ちは既に次の会社に向かっていた。

『俺が辞めたら、この仕事は回らない。』

それは妄想に過ぎない。

何事も無かったように、仕事は回り続けるのだ。
 
 
***
 
 
今月末。

同じチームに所属する者が、会社を辞める。

チームは沈み行く船なのか。
それはわからない。

引継ぎを行なう彼の目は、どことなくイキイキしている。
恐らく、その視線は次の会社に向けられているに違いない。

彼がいなくなっても、仕事は回る。

いや、残された者たちが回さないといけない。

何事も無かったように回る。

実は、これこそが妄想。
残された者たちは、相当無理しているのだ。

俺が転職した時は、自分の事だけを考えていた。
その事に気づいたのは、大分後になってからだった。
 
 
もし今、俺が去る者だったら。

残る者たちの事をもう少し考えられるだろう。
 
 
***
 
 
撃沈したレース。
どことなく、沈み行く船で行なう清算処理に似ている。

まさに敗戦処理。

達成感がない。

得るものも何もない。
 
 
 
あるのは意地とプライドだけ。
 
 
 
今日も読んで頂きありがとうございます!

それでも我々はゴールを目指します。
ヘロヘロになっても、歩いてでも。
それは次へ進むために大切な事だと思います。


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